日本・海外のフュージョンバンドを聴いてみる


msacommによるPixabayからの画像

今回は日本・海外のフュージョンバンドを紹介する。

主に取り上げるのは70、80年代のフュージョンバンドではあるが、後半は1990年代以降のバンドについても取り上げていきたいと思う。

エレクトリックジャズ、クロスオーバーを経て、70年代に確立されたフュージョンは、ジャズを凌ぐほどの人気となったが、80年代を境に人気に陰りが見え始めた。それでも、日本での熱狂的なフュージョンファンが多かったこともあり、来日公演は頻繁に行われていた。

90年代以降になると、ファン層、ミュージシャンの高齢化、新たなファン層の開拓が課題となる。大半がインストゥルメンタルということもあり、歌モノよりもチャートに登る機会が少なく、若いリスナー層になかなか認知されないなどのケースも多い。

一方、日本ではジャズロックやクラブジャズを取り入れて若いファンを獲得しているバンドも存在する。しかし、多くがギターやシンセサイザーを使わないジャズバンド形態のため、果たしてこれをフュージョンと呼ぶべきかは判断に迷う。

1970~80年代のフュージョンバンド

まずは、1970~80年代の日本のフュージョンバンドを紹介する。

T-SQUARE(ティースクエア)

今回はフュージョンバンドT-SQUAREの1978~2009年にリリースされたアルバムの代表曲を紹介する。1978年にデビューしたスクエアは幾度のメンバーチェンジを経ながらカシオペアとともに日本を代表するフュージョンバンドになる。現在も年一回のペースでアルバムをリリースしている。

CASIOPEA(カシオペア)

今回はフュージョンバンドのカシオペアの代表曲をダイジェストで紹介する。野呂一生がリーダーであるカシオペアはT-SQUAREとならんで日本を代表するフュージョンバンドで、何度もメンバーチェンジや活動休止を経ながらも現在も「Casiopea3rd」として活躍している。

Prism(プリズム)

今回はフュージョンバンドのプリズムを紹介する。1975年に和田アキラや久米大作らとともに結成された。翌年デビューするも、メンバーの脱退が相次ぎ、1983年に活動停止となる。紆余曲折を経ながらも活動を続けてきたが、2021年に和田アキラは敗血症によってこの世を去った。

次は、1970~80年代の海外のフュージョンバンドを紹介する。

Crusaders(クルセイダーズ)

今回は70年代、80年代に活躍したフュージョングループのクルセイダーズを紹介する。かつてはジャズグループだったが、70年代にR&B、ソウルを取り入れた独自の音楽を追求した。ランディクロフォードをボーカルとして迎えた「Street Life」は彼らにとって最大のヒット曲となった。

Return To Forever(リターントゥフォーエバー)

今回はフュージョンバンド「リターントゥフォーエバー(Return to Forever)」を紹介する。チックコリアを中心に結成され、1972年にアルバム「Return to Forever」でデビューし、メンバーチェンジを繰り返して活動していたが、今月10日にチックコリアは死去した。

Rippintons(リッピントンズ)

今日はスムースジャズ/フュージョングループのリッピントンズの楽曲を特集する。ダイナミックかつエギゾチックな演奏を持ち味にしていて、ジャケットには常にニタリと笑う不気味な猫が描かれている。リーダーはラス・フリーマンで、グループの音楽性は彼の音楽ルーツに依拠している。

Acoustic Alchemy(アコースティックアルケミー)

今回はフュージョンバンド・アコースティックアルケミー「カタリーナキッス」について紹介する。アコースティックアルケミーはグレッグ・カーマイケルとニック・ウェブのギターデュオで、GRPからリリースされた「Reference Point」はグラミー賞にノミネートされた。

Fruits Cake(フルーツケーキ)

今回はフュージョンバンドのFRUITCAKE(フルーツケーキ)を紹介する。フルーツケーキは1980年代に結成され、ファンクやジャズ、ボサノヴァを基調とした柔らかなほのぼのサウンドが日本で人気となり、ラジオ番組やテレビ番組のBGMとして使用されていた。レコードやCDは少数しか販売されてなかったため、現在も入手困難が続いている。

Mezzo Forte(メッゾフォルテ)

今回はフュージョンバンドのメッゾフォルテを紹介する。メッゾフォルテは1977年にアイスランドで結成され、1983年に代表曲「ガーデン・パーティー(Garden Party)」がイギリスのチャートで最高位17位にまでなった。現在も活動中である。

Yellow Jackets(イエロージャケット)

今回はフュージョンバンドのイエロージャケットを紹介する。1977年に結成、1981年にアルバム「イエロージャケット」でデビューした。初期はシンセサイザーを多用するなどフュージョン色が強かったが、1990年代以降はストレートアヘッドジャズへと音楽性が変化していく。

Weather Report(ウェザーリポート)

今回はフュージョンバンドのウェザーリポートを紹介する。かつて同じビッグバンドに所属していたジョーザヴィヌルとウェイン・ショーターを中心に、1971年に結成され、頻繁なメンバーの交代、多彩なジャンルを取り入れるなどフュージョンを代表するバンドだったが、1986年に解散した。

Level42(レベル42)

今回は80年代に活躍したイギリスのフュージョンバンド「LEVEL42」を紹介する。1979年に結成され、代表曲は「Lesson of Love」「Something about you」など。リーダーはメインボーカル、ベースのマーク・キング。

90年代以降のフュージョンバンド

今回は1990年代以降に活躍しているフュージョンバンドを紹介する。70,80年代はフュージョンの全盛期だったが、アメリカでは80年代以降、日本では90年代以降になるとスムースジャズに取って代わられ、人気は下火となっていく。

もちろん今もなおフュージョンは形を変えて生き残っているが、あくまで演奏するジャンルの一つとして捉えられていて、「明らかにフュージョンだろう」と断定できるバンドは少なくなりつつある。

フュージョンミュージシャンたちも高齢化は避けられない問題だ。デイブグルージン、ハービーハンコック、ボブジェームスは80代、ラリーカールトンやニールラーセンは70代、デイブウェッケルやマーカスミラーなど、かつて若手とされていたミュージシャンも大半が60代に突入した。

それもあってか、彼らが活躍していた70、80年代のフュージョン関連の書籍は見かけるが、90年代以降を取り上げている書籍はあまりないのが現状である。それおろかフュージョンという言葉すら知らない人も増えている。まあ、このままだと忘れられてしまう可能性は大いにある。

とはいえ、時代の流れには逆らえないのは仕方ない部分もある。今ある楽器が廃れない限り、無意識にせよフュージョンに何らかの形で触れる機会があればいいのではないだろうか。今はネットやストリーミングによって、動画や音源は記録として残されていくので、昔よりも忘れられることはないだろう。

一つ懸念があるとすれば、どんなにネットが発達したとしても人間は日常で流行っている、経験している、知っている言葉しか関心を持たないし、それに応じて検索ワードも似たり寄ったりになってしまうので、結局は検索順位の底の方に埋もれて余計に忘れられてしまうリスクはあるかもしれない。

早速、日本ではジャズのカテゴリーに入りそうではあるものの、雰囲気的にフュージョンっぽいバンドを集めてみた。一方、海外では表向きはプログレやメタルなどのロックインストバンドだが、フュージョンも演奏するといったバンドが多い。

まずは、90年代以降の日本のフュージョンバンドを紹介する。

TRIX(トリックス)

今回はフュージョンバンドのTRIXを紹介する。元T-SQUAREのベーシスト須藤満と元カシオペアのドラマー熊谷徳明を中心に2004年に結成された。バンド名の通り、ライブでの仕掛けや楽曲のコミカルさが特徴的である。とはいえ、これらは一側面でしかなく、至って真面目なバンドである。

Phyramid(ピラミッド

今回はフュージョンバンドのピラミッドを紹介する。アレンジャーの鳥山雄司、カシオペアの神保彰、元T-SQUAREの和泉宏隆の三人によって2005年に結成され、4枚のアルバムをリリース、フュージョンのカバーも手掛けている。2021年4月26日、和泉宏隆が急性心不全で他界した。

DEZOLVE

2014年に友田ジュン(key)、小栢伸五(ba)、山本真央樹(dr)によって結成され、北川翔也(gt)の途中加入によって4ピースバンドとなる。メロディーもキャッチ―で親しみやすく、T-SQUAREやカシオペアのポップインストゥルメンタルを継承した、新世代フュージョンバンドである。

Bohemian Voodoo

2008年、Nassy(b)、木村イオリ(p,key)、bashiry(g)、井上孝利(ds)の4人によって結成された。2013年、ドラムは山本拓矢に交代する。木村イオリのピアノとbashiryのアコースティックギターが印象的なインストバンド。後にFox Capture Planとも共演を果たしている。

次は、90年代以降の海外のフュージョンバンドを紹介する。

Tribal Tech

1984年にスコットヘンダーソンとゲイリーウィルスによって結成され、1985年にアルバム「スピアーズ」でデビューする。ヘンダーソンのプログレなギタープレイが特徴的な、90年代を中心に活躍していたバンドである。2000年に解散したものの、2012年に再結成され、アルバム「X」をリリースした。

Snarky Puppy

今回はフュージョンバンドのスナーキーパピーを紹介する。2004年に北テキサス大学の学生だったマイケルリーグら10人によって結成された。2度にわたってグラミー賞を獲得し、名実ともに21世紀を代表するジャズインストバンドである。レイラハサウェイやデヴィッドクロスビーなどのボーカルとの共演もしている。


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