フュージョンギタリストのアールクルーを聴いてみる
今回はフュージョンギタリストのアール・クルーを紹介する。
元々はエレクトリックギタリストとしてキャリアをスタートさせた
彼にとってのギターヒーローはチェットアトキンスだが、直接の師匠はジョージベンソンだ。
若干20歳でジョージベンソンのグループに加わったアールクルーは、エレクトリックギターで「White Rabbit」と「Body Talk」の2作品のレコーディングに参加した。
そして、その翌年にはリターントゥフォーエバーに加入することになった。
まさに順風満帆なキャリアのはずだったが、4か月後に脱退。後任はアル・ディメオラが引き継ぐことになった。(残念なことにレコーディングの類は一切残されていない。)
気になるのは、アルディメオラがジョンマクラフリンやパコ・デ・ルシアとアコースティックトリオを組むことがあっても、アールクルーはジョージベンソンやポールジャクソンJrと共演することはあっても、アルディメオラらとはデュオやトリオを組むことがなかったことだ。
ただ単にそういう機会がなかっただけなのかもしれないが、彼自身、主役は自分一人で十分と思っているのかもしれない。
1975年にブルーノートからデビュー
1970年代当時のブルーノートは、創始者アルフレッドライオンの引退、フランシスウルフの他界によって、レーベルのカラーは様変わりし、従来のジャズファンから邪道と評されることが多い、フュージョンやジャズファンクの分野を取り扱うことが多くなった。この時期にリリースされたレコードは、BN-LAシリーズと呼ばれる。(後にこのシリーズは、1990年代にクラブのサンプリングに使用されたり、1980年代から90年代にかけて確立されたアシッドジャズに大きな影響を与えている。)
アールクルーがデビューした1975年は、そんなさなかの事だ。
ブルーノートは、ラリーローゼンとデイブグルージンとタッグを組んで発足したGRPにプロデュースの機会を与えたことで、アールクルーのアコースティックプレイが陽の目を見ることになったのだ。
自身の名をタイトルにした「アールクルー」でデビューし、翌年の76年にリリースされた「Living Inside Your Love」、77年にリリースされた「Finger Painting」で彼は一躍有名ギタリストとなった。