渋谷系アーティスト・カジヒデキの名曲「Queen sound babbles again」とは?
渋谷系シンガーソングライター・カジヒデキのアルバム「15 ANGRY MEN/15人の怒れる男たち」の収録曲だよ。
この曲との出会いは小学校中学年の頃。片田舎に住んでいて渋谷系の「し」すら知らなかった頃。
純粋無垢だった俺はTVに映っている世界がすべてだと思っていた。
当時はガキ大将に「恐怖の幽遊白書ごっこ」などでいじめられて、ここから抜け出したいという気持ちでいっぱいだった。
そんな時、松たか子がヤマザキのCMに出演していた(いったいこの人何年ぐらいこのCMに出ているんだろ。)。
この時のBGMがカジヒデキの「Queen sound babbles again」だった。
もちろん俺はそのアーティストの名前なんて知るわけもなく、いい歌だなーとしか思わなかった。(この頃なんてインターネットも未発達だし、家にパソコンなんてなかったし、調べようなんてなかったのだ。ヤマザキに電話したら答えてくれたのかな?)
それにたかだか小学生に渋谷系の良さなんてわかるわけもなかった。
そんなわけだから、うろ覚えのメロディーは記憶の片隅にしまい込まれたまま、忘れてしまった。(この頃の流行は浜アユやGrayとかLittle Every thingとかもうたくさんあったからね。)
それから15年後、ますます内向的でそのくせトッポイ俺は、オザケンやオリジナルラブなどの渋谷系アーティストをガンガン聴いていた。そろそろ違うアーティストを聴きたいなーと、俺はカジヒデキのベスト盤を借りることになった。
そこでようやく「Queen sound babbles again」を聴くことができたのだ。
ガキ大将と若かりし頃の松たか子の顔が浮かび、懐かしい気分に浸っていた。あまりに遅い再会だ。でもこの曲いいな。
それにしても、この「Queen sound babbles again」ってどういうことをイメージしてこのタイトルをつけたのかな?
bubbleは「泡」っていう意味を知っているのは日本経済の忌まわしい記憶のおかげなんだけど、じゃあ他に意味はないのかなと調べてみると、案外意味深だったことに驚いた。
bubble
[名] 1 ((通例~s))泡, あぶく, 気泡;シャボン玉
- That put bubbles in my blood.
((略式))はらわたが煮えくり返った.2 (泡のように)確実性[実体, 恒久性]のないもの;幻想, 妄想.
3 いんちき事業[投機];詐欺;《証券》バブル
出典:コトバンク bubble プログレッシブ英和中辞典(第4版)の解説
おー、特に2の意味とかまさに渋谷系にふさわしいものはない。
「いつの間にか淡い思い出も泡のように沸き立って、いつの間にか消えてしまうだろう。」的な。
うーん、淡い思い出なんてなかったな。今からでも家に引きこもりたいくらいに無様な思い出しかない。まさに暗い平成を象徴した人間そのものだ。
でも過去の記憶も今のコロナ禍もいつかきっと泡のように消えていくだろう。そしてその時からまた何事もなかったかのように歩き出せるだろう。うん、それも悪くない。
暗い顔をしているあなた。オザケン、フリッパーズギター、バカラックに心酔しているあなたならきっとこの曲は気に入るはず。