フュージョンギタリストのジョージベンソンを聴いてみる
今回はフュージョンギタリストのジョージベンソンを紹介する。
ウェスモンゴメリーの後継者として
高校生ですでにバンド活動をしていたジョージベンソンは、二つの出来事によって人生を大きく変えることになる。一つ目は、ジャズギタリストのウェスモンゴメリーの音楽を聴いて、ジャズに転向することになったこと。二つ目は、彼がジョージが演奏していたクラブに現れて、ジャズに転向するようアドバイスされたこと。(マンガみたいで出来すぎな話だが。)
高校卒業後に、いくつかのバンドに参加し、64年には初のリーダー作をリリースすることになった。
1968年にウェスモンゴメリーは心臓発作により他界する。予定のレコーディングが空いたことで、当時CTIシリーズのプロデューサーだったクリードテイラーは、代わりにジョージベンソンのアルバムを収録することを思いつく。そして、同年にアルバム「The Shape Of Things To Come」をリリースする。
「Breezin’」の大ヒット
AORの父と呼ばれているトミー・リピューマのプロデュースによってリリースされたフュージョンの名盤。
彼の甘いボーカルが聴けるM2「This Masquerade」は、当時盛り上がりを見せていたAC(アダルトコンテンポラリー。日本ではAOR。)の影響が窺える。
M1のタイトル曲は、繰り返されるコード進行と心地よいグルーブが特徴的で、イージーリスニング、後のスムースジャズに大きな影響を与えることになる。
80年代はボーカリストとしての実力を発揮
1980年代はクインシー・ジョーンズやジェイグレイドンのプロデュースによって、ボーカリストとしての才能に、さらに磨きがかかる。
「Give Me The Night」は、クインシー・ジョーンズによるプロデュース曲で、当時のディスコサウンドを大胆に取り入れている。
「Turn Your Love Around」は、ギタリストのジェイグレイドンのプロデュース曲で、ビル・チャンプリン、TOTOのスティーブ・ルカサー、ジェイ・グレイドンの3名によって作曲された。1983年にグラミー賞を獲得した。
まとめ
ボーカルとギターの二刀流をこなしたジョージベンソンも、今年で78歳になる。
Spotifyだけに限れば、2021年3月現在で今月のリスナーは約420万人、フォロワーは約50万人近くと、ボーカリストとして知られていることを加味しても、他のフュージョンミュージシャンに比べて圧倒的数字である。(フォロワーだけに限れば、ハービーハンコックも約50万人いる。)
忘れ去られるのが早い音楽業界において、いかに稀有なことかよくわかるだろう。
彼は、フュージョンの垣根を飛び越えて、唯一無二の存在として確立されたと言ってもいいだろう。